
はじめに
ソフトテニスで使われるボールは、見た目はどれも同じように見えますが、空気圧の調整によって弾み方や打球感がまったく変わります。
特に大会や練習では、正しい空気量に調整されていないと、
「打った感触が軽すぎる」「ボールが飛ばない」といったトラブルの原因になることもあります。
この記事では、ソフトテニスボールの空気圧の基準・調整方法・季節ごとのコツをわかりやすく解説します。
正しいバウンドを知ろう:ソフトテニスボールの基準とは
ソフトテニスのボールには、硬式テニスのように「〇kPa」や「〇psi」といった数値での空気圧規定はありません。
その代わり、「1.5メートルの高さから落として70〜80センチの高さまでバウンドする」というバウンド高の基準が設けられています。
つまり、空気の入れすぎ・抜きすぎではなく、**「正しい弾み方をする状態」**こそが適正な空気圧の目安なのです。
選手たちはこの基準に合わせて、専用ポンプを使って細かく調整しています。
なぜ空気圧の調整が重要なのか

空気圧が合っていないと、プレー全体の感覚が狂ってしまいます。
ボールの弾みが変わることで、打球のスピードやスピンのかかり方、コントロールの精度まで影響を与えるからです。
具体的には以下のような影響が出ます。
| 状況 | 問題点 | プレイへの影響 |
|---|---|---|
| 空気が多すぎる | ボールが硬く弾みすぎる | ストローク時にアウトしやすい/コントロールが難しい |
| 空気が少なすぎる | ボールが潰れやすく飛ばない | スピードが出ない/打感が重い |
| 適正空気圧 | バウンドが安定し、コントロールしやすい | 打球の再現性が高まり安定したプレーができる |
また、空気圧は気温や湿度の影響も受けやすく、
夏は膨張しやすく・冬は縮みやすいため、同じ空気量でも季節によって弾み方が変わることがあります。
そのため、定期的なチェックと調整が欠かせません。

正しい空気圧の調整手順
使用する道具
- 専用ポンプ(空気圧調整器)
- バルブエア式ボール(アカエム・ケンコー・ダンロップなどの公式球)
- 清潔なポンプ針
💡 ポイント:ポンプの針は汚れやサビがない状態で使うことが大切です。
針が汚れていると、バルブ部分(ヘソ)が破損する恐れがあります。
空気圧の調整方法(ステップ式)
- バルブ(ヘソ)のスリットを確認する
ボールの空気注入口には、小さな切れ込み(スリット)があります。
この位置に合わせてポンプの針を挿します。 - ポンプ針を清潔に保つ
汚れがあると空気漏れや破損の原因になります。使用前にティッシュなどで軽く拭き取りましょう。 - 針を根元までまっすぐ挿し込む
ボールを軽く握り、スリットに沿ってゆっくりとまっすぐ針を差し込みます。
角度を間違えると内部が傷つくので注意。 - 空気を入れる/抜く
- ポンプの上部の穴を指でふさぎながら空気を入れます。
- バウンドが高すぎる場合は、穴から指を離して少しずつ空気を抜きます。
- バウンドテストを行う
1.5mの高さからボールを落とし、70〜80cmの高さにバウンドすればOK。
感覚的には「軽く弾むけど硬すぎない」程度が目安です。 - 針を抜くときはゆっくり
ボールを軽く握りながら、まっすぐ針を引き抜きます。
急に抜くと空気漏れを起こす場合があります。
よくある失敗と注意点
| よくあるミス | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| バルブが壊れた | 針を斜めに挿した | 真っすぐゆっくり挿入する |
| 空気がすぐ抜ける | バルブが汚れている | 挿す前に清掃 |
| 弾みが安定しない | 空気が多すぎ/少なすぎ | バウンドテストで再調整 |
季節やプレースタイルに合わせた調整のコツ(応用)

季節ごとの違い
- 夏(気温が高い)
→ 空気が膨張しやすいので、やや少なめに入れるとよい。
弾みが強くなりすぎるのを防ぎます。 - 冬(気温が低い)
→ 空気が収縮しやすいため、やや多めに入れてバウンドを確保。 - 湿度の高い日
→ 地面の摩擦が増え、ボールの弾みが鈍くなりやすい。少し強めの空気圧がおすすめ。
プレースタイルによる調整
| スタイル | 空気の入れ方 | 特徴 |
|---|---|---|
| スピード重視 | 空気を多めに入れる | 高反発で速球を打ちやすい |
| コントロール重視 | 空気を少なめにする | ボールが落ち着いて狙いやすい |
| 回転重視 | 標準よりやや少なめ | スピンがかかりやすくなる |
大会や試合での空気圧の扱い(公式ルール)
公式大会や公式戦では、試合で使用するボールの空気圧は大会運営側であらかじめ調整されています。
選手が個別に空気を入れ直すことはできません。
ただし、試合前の練習やウォーミングアップの際に、
「バウンドが高すぎる」「弾みが悪い」と感じた場合、
選手は主審に申し出ることが可能です。
主審は両チームの意見を確認した上で、正規のボールと交換するかどうかを判断します。
試合中にボールの不具合が発生した場合も同様で、審判の判断でボール交換が行われます。
✅ 公式大会で使用されるボールは「公認マーク付き(アカエム・ケンコー・ダンロップ)」のみ。
一般販売の練習球よりも、空気圧の管理が厳しく行われています。

まとめ:空気圧管理でプレーが変わる
ソフトテニスのボールには数値での空気圧基準はありませんが、
「1.5mから落として70〜80cm弾む」という明確なバウンド基準があります。
その範囲に調整するためには、
- 清潔な専用ポンプを使い
- 丁寧に空気を出し入れし
- 季節やプレースタイルに合わせて微調整する
ことが大切です。
ボールの弾みはプレー全体のリズムを左右します。
正しい空気圧管理を習慣化することで、安定したストローク・快適なラリー・ケガ防止にもつながります。
初心者でも、まずはバウンドテストを基準に、自分に合った弾みを探してみましょう。

