「次の試合、審判お願いね」と言われて、何をすればいいのか分からず焦った経験はありませんか。ソフトテニスでは、中学生や高校生でも大会で審判を任されることがよくあります。
結論から言うと、審判のやり方は「正審と副審の役割分担」と「試合の流れ」の2つを押さえれば、初めてでも落ち着いて進められます。この記事では、日本ソフトテニス連盟の審判マニュアルをもとに、立ち位置、どのラインを誰が見るか(判定区分)、副審のサイン、迷ったときの対処までを順番に整理しました。
まず結論|審判のやり方は3つのポイントで覚える
| ポイント | 正審 | 副審 |
|---|---|---|
| ①位置 | 審判台の上 | 審判台と反対側のサイドラインの外(ネットポストの後方約60cm) |
| ②見るもの | 自分の判定区分のライン+試合全体の進行 | 自分の判定区分のライン+ボールの管理 |
| ③伝え方 | 大きな声でコールし、採点票に記録 | ラインの判定はサイン、その他の判定はサイン+コール |
正審は「試合の進行役」、副審は「正審を助けるパートナー」です。2人で力を合わせることが、審判の基本になります。
正審と副審の違い|役割と立ち位置

日本ソフトテニス連盟の審判マニュアルでは、アンパイヤー(審判)は正審1人・副審1人が原則とされています。なお、連盟の資料では「主審」ではなく「正審」と呼びます。
正審の役割
正審は審判台の上から試合を進める役です。主な仕事は次の4つです。
- 試合開始・ゲームの区切り・試合終了などのコールをする
- 自分の判定区分(担当するライン)のイン・アウトを判定する
- 副審のサインやコールを確かめ、それを尊重してコールする
- ポイントの結果を採点票(いわゆるジャッジペーパー)に記録する
ポイントは、副審の判定区分を正審が勝手に変えないことです。副審が「フォールト」のサインを出したら、正審はそれを受けて「フォールト」とコールします。
副審の役割
副審は、審判台の反対側から正審をサポートします。
- 自分の判定区分のラインを判定し、サインで正審に伝える
- ネットタッチなど「その他の判定区分」は、サインとコールの両方で伝える
- ボールを管理する(試合前に2個のバウンドがそろっているかを確認し、試合後は本部へ返す)
副審の立ち位置は「サービスのとき」と「ラリー中」で変わる

初めての人が一番迷うのが、副審の立ち位置です。
| 場面 | 副審の位置 |
|---|---|
| サービスのとき | レシーブ側のサービスラインを延長した線上(コートには入らない) |
| サービスが入ったあと(ラリー中) | すばやく走って定位置(ネットポストの後方約60cm)へ移動 |
| チェンジサイズのとき・ファイナルゲームの前 | 定位置で待つ |
レシーバーが右(ライト)のサービスコートか、左(レフト)のサービスコートかで、副審が立つ場所は変わります。サービスのたびに、レシーブ側のサービスラインの延長線上へ移動しましょう。
判定区分|どのラインを誰が見るか
判定区分とは、どのラインの判定を正審と副審のどちらが担当するかを決めたものです。ここを間違えると、2人の判定がぶつかり、試合が止まってしまいます。
ラインの判定区分(区画線による判定区分)
都道府県の審判講習会資料では、一般的に次のように分けられています。
| 担当 | 見るライン |
|---|---|
| 正審 | ベースライン、サービスセンターライン、正審側のサイドライン、正審側のサービスサイドライン |
| 副審 | サービスライン、副審側のサイドライン、副審側のサービスサイドライン |
簡単に言うと、正審は「奥(ベースライン)と真ん中」、副審は「手前寄り(サービスライン)」を見ます。サイドラインとサービスサイドラインは、自分に近い側を担当します。線審がつく大会では区分が変わるため、事前の打ち合わせで確認してください。
その他の判定区分(正審も副審も同じ)
ライン以外の反則は、正審・副審のどちらが判定してもかまいません。主なものは次のとおりです。
- ツーバウンズ、ダイレクト、ボディタッチ、ネットタッチ、ネットオーバー
- チップ、タッチ、ドリブル、キャリー、インターフェア
- レット、ノーカウント、フットフォールト
判定区分で間違えやすい3つのポイント

講習会でもよく注意されるのが、次の3つです。
- 副審は、ベースラインを越えたアウトに手を挙げない(ベースラインは正審の担当)
- 副審は、ネットにかかったサービスのフォールトにはサインをしない。正審は、この場合も「フォールト」とコールする
- インのボールには、原則としてサインをしない。ただし、選手が迷いそうなときは、手のひらを下にして片手を前ななめ下に差し出してもよい
副審のサイン7種|ハンドシグナルの出し方
副審のサインは、連盟のマニュアルで型が決まっています。自己流にせず、次の7つを覚えましょう。
| サイン | 出し方 | コール |
|---|---|---|
| ①構え(サービスのとき) | レシーブ側の足を前に出し、腰を低くする。足を出した側の手はひざの上に軽く置く | なし |
| ②フォールト | 構えた姿勢のまま、指を伸ばし、ひじを直角にして片手を上げる | なし |
| ③レット | 両足をそろえて立ち、片手を上げる。ファーストは指2本、セカンドは指1本 | 「レット」 |
| ④アウト | ボールが落ちた所にまっすぐ向き、そこを見たまま、外側の手を上げる | なし |
| ⑤その他の判定区分 | 失点になる行為をした選手を片手で指す(右の選手は右手、左の選手は左手) | 「ネットタッチ」など |
| ⑥ノーカウント | 両手を顔の前で交差するように振る | 「ノーカウント」 |
| ⑦タイム | 手のひらを正審に向けて両手を上げる | 「タイム」 |
サインは、正審が確認できるまで、はっきり止めて見せるのがコツです。都道府県の講習会資料では、「3秒間」を目安とする例もあります。不安そうな顔や、手を上げかけて下ろすといった動きは、選手を混乱させるので避けましょう。
試合前から試合終了までの流れ|7ステップ
ここでは、ダブルスの試合を例に、審判がやることを時系列で並べます。各場面のコールのセリフは、記事末の関連記事でくわしく紹介しています。
ステップ1|準備(選手より先にコートへ)
審判は、選手より先に準備を整えて待つのが基本です。
- 服装はソフトテニスをするときの服装。審判の資格をもつ人は、審判ワッペンを左胸につける
- 採点票に書かれた選手名とゼッケンを確認する
- 副審は、ボール2個のバウンドがそろっているかを確認する
- 自分のラケットは審判台の下に置く(ネットやポストに立てかけない)
ステップ2|整列とあいさつ
正審と副審は、ネットをはさんで審判台側のサイドラインの外に立ちます。正審の「集合」のコールで選手がネットに近づき、あいさつを交わします。そのあと、正審が選手を確認します。
ステップ3|トス
ペアの1人がジャンケンをし、負けた方がラケットをコートに立てて回します。勝った方がラケットが倒れる前に「表」か「裏」かを言い、当てた方がサービス・レシーブ・サイドを選ぶ権利を得ます。
ステップ4|練習と「レディ」
サービス・レシーブ・サイドが決まったら、選手は試合前の練習をします。練習時間は、ふつう1分以内です。正審が「レディ」とコールし、練習を終わらせます。
ステップ5|プレーボール
正審が「サービスサイド○○ペア、レシーブサイド○○ペア、○ゲームマッチ、プレーボール」とコールして試合が始まります。副審はサービスの構えに入ります。
ステップ6|ゲーム中の進行
1ゲームが終わるごとに、正審がコールで進めます。
- 奇数ゲームのあと:「ゲーム、チェンジサイズ」(サイドとサービスを交代)
- 偶数ゲームのあと:「ゲーム、チェンジサービス」(サービスのみ交代)
- ゲームカウントが2-2(5ゲームマッチ)や3-3(7ゲームマッチ)になったら:「ファイナルゲーム」とコール
ファイナルゲームは、2ポイントごとにサービスが代わり、最初の2ポイントのあと、以後は4ポイントごとにサイドを交代します。
ステップ7|ゲームセットとあいさつ
正審は「ゲームセット」とコールし、すぐに審判台を降りて、試合前にあいさつをした位置に立ちます。副審は使ったボールを回収し、同じ位置に立ちます。正審が「○対○で○○ペアの勝ち」と言ったあと、全員であいさつをして終わりです。
個人戦では、勝ったペアに採点票の勝者サイン欄へサインをもらいます。採点票の書き方は、別の記事でくわしく解説しています。
試合中に困ったときの対処|よくある場面5つ
初めての審判で多いのは、「迷った」「間違えた」ときにどうすればいいか分からないケースです。マニュアルで決められた対処を知っておくと、慌てずにすみます。
①イン・アウトの判定に迷った

プレーは続けさせます。ボールの跡が残るコートなら、跡を確かめてから判定してかまいません。正審は副審に確認を頼めます。副審が判断できないときは、正審が審判台から降りて確かめることもできます。
②判定を間違えた
判定がはっきり間違いだと認められるときは、正審がそのポイントに限って正しく直せます。
③間違ってプレーを止めるサイン・コールをした
すぐにプレーを止めさせます。正審が、プレーに差しさわりがあったと判断すればノーカウント(レシーブ前ならレット)、差しさわりがなければ判定を正しく直します。
④カウントを間違えた
「コレクション」と言ってから、正しいカウントをコールします。ポイントカウントの誤りはそのゲーム中、ゲームカウントの誤りはその試合中に限り直せます。ラリー中に気づいても、プレーは止めません。
⑤選手から質問された
質問の内容を確かめ、判定の結果は正審から伝えます。同じ判定について同じ選手が再び問い合わせた場合は、異議とみなされ、イエローカード(警告)の対象になります。
コールと採点票は「要点だけ」押さえる
審判のやり方を覚えるうえで、コールと採点票は欠かせません。ただ、最初から全部を暗記する必要はありません。
- コール:まずは「レディ」「プレーボール」「ゲーム、チェンジサイズ」「ゲーム、チェンジサービス」「ファイナルゲーム」「ゲームセット」の流れを覚える
- 採点票:試合前に選手名を確認し、ポイントごとに記録。最後にスコアと審判名を書き、勝者サインをもらう
セリフの一覧や、採点票の記入例は、記事末の「あわせて読みたい」にまとめています。
審判の資格|ジュニア審判員・2級・1級
大会によっては、審判を務めるのに公認審判員の資格が必要です。日本ソフトテニス連盟の公認審判員規程では、主に次の級があります。
| 資格 | 対象 | 有効期間 |
|---|---|---|
| ジュニア審判員 | 小学生・中学生 | 小学校・中学校に在学している間 |
| 2級審判員 | 満15歳以上(中学生を除く) | 6年(新規認定は、5年経過後の最初の3月31日まで) |
| 1級審判員 | 2級審判員として4年を超える経験がある人など | 6年 |
講習会や検定会の日程は、各都道府県のソフトテニス連盟が案内しています。
よくある質問
Q. ソフトテニスの審判は何人でやりますか?
正審1人、副審1人の2人が原則です。大きな大会では、線審がつく場合もあります。
Q. ソフトテニスの審判の立ち位置はどこですか?
正審は審判台の上です。副審は、審判台と反対側のサイドラインの外、ネットポストの後方約60cmが定位置です。サービスのときだけ、レシーブ側のサービスラインの延長線上に移動します。
Q. 正審と副審の違いは何ですか?
正審は試合の進行役で、コールと採点票の記録を担当します。副審は正審を助ける役で、担当ラインの判定をサインで伝え、ボールを管理します。
Q. 判定を間違えたら訂正できますか?
できます。判定がはっきり間違いのときは、正審がそのポイントに限って直せます。カウントの誤りは「コレクション」と言ってから訂正します。
Q. 審判の資格は何年有効ですか?
日本ソフトテニス連盟の規程では、1級・2級審判員は6年です。ジュニア審判員は、小学校・中学校に在学している間が有効期間です。
まとめ
- 審判は正審1人・副審1人が原則。正審は進行役、副審はパートナー
- 副審は、サービスのときはレシーブ側サービスラインの延長線上、ラリー中はネットポスト後方約60cm
- 判定区分は、正審がベースラインと真ん中、副審がサービスライン。サイドラインは自分に近い側
- 副審のサインは7種類。型どおり、はっきり止めて見せる
- 迷ったらボールの跡を確認、間違えたら正審が訂正、カウントの誤りは「コレクション」
- 細部は、最新のルールブックと大会の要項・講習会資料で確認する
次に審判を任されたら、試合前に正審と副審で「どのラインを誰が見るか」を一言確認してみてください。それだけで、判定のぶつかり合いはぐっと減ります。

