「ピックルボールってどこの国のスポーツ?」「変わった名前だけど、由来は?」と気になっている方は多いはずです。

結論から言うと、ピックルボール発祥の国はアメリカです。1965年の夏、ワシントン州のベインブリッジ島で、3人の男性が家族のために考えた遊びが始まりでした。この記事では、USA Pickleball(米国の統括団体)や国内の統括団体の公式情報をもとに、誕生の経緯から名前の由来、競技人口、日本での広がり、オリンピックの現状までを順番に整理します。

結論|ピックルボール発祥の国・地・年

項目内容
発祥の国アメリカ
発祥の地ワシントン州ベインブリッジ島(シアトル近郊の島)
誕生した年1965年(夏)
考案した人ジョエル・プリチャード、ビル・ベル、バーニー・マッカラムの3人
きっかけ家族みんなで遊べるゲームを即席で作った
名前をつけた人ジョエルの妻ジョーン・プリチャード(USA Pickleballによる)
米国の競技人口約2,430万人(2025年・SFIA調査)

※出典:USA Pickleball公式サイト、SFIA(米国スポーツ・フィットネス産業協会)。

「カナダ発祥?」「日本発祥?」「ブラジル発祥?」といった疑問も見かけますが、いずれも違います。ピックルボールはアメリカ生まれのスポーツで、テニス・バドミントン・卓球の要素をあわせ持つラケット競技です。ちなみに、ソフトテニスは日本発祥のスポーツなので、ちょうど逆の関係になります。

ピックルボール誕生の経緯|1965年、夏休みの即席ゲーム

コートのライン際に置かれた黄色いピックルボールのボール

道具がそろわず、卓球のパドルで遊んだのが始まり

USA Pickleballによると、1965年の夏、ジョエル・プリチャードと友人のビル・ベルは、ベインブリッジ島にあるプリチャード家の敷地に帰ってきました。退屈している家族のために、バドミントンをしようと道具を探しましたが、ラケットが全員分そろいませんでした。

そこで2人は、卓球のパドルと、穴のあいたプラスチックのボールを代わりに使って遊び始めます。今のピックルボールが「板状のパドル」と「穴あきボール」を使うのは、この即席の道具がそのまま受け継がれたためです。

ジョエル・プリチャードは、のちに米国の連邦下院議員やワシントン州の副知事を務めた人物です。

ネットの高さはバドミントンから下げた

最初はバドミントンと同じ60インチ(約152cm)の高さにネットを張っていました。ところが、ボールがアスファルトの上でよく弾むと分かり、週末のうちに36インチ(約91cm)まで下げたとされています。

3人目の考案者が加わり、ルールができた

翌週末、プリチャード家を訪れたバーニー・マッカラムがこの遊びを知り、3人でルールを作りました。ルールはバドミントンを大きく参考にしたものです。目的は「家族みんなで一緒に遊べるゲームにすること」でした。

なお、誕生年については考案者本人の発言などに食い違いもありますが、USA Pickleballをはじめ多くの資料が1965年としています。

ピックルボールの名前の由来|2つの説

「ピックル(pickle)」は英語でピクルス(漬物)のこと。なぜこの名前がついたのかには、2つの説があります。

説内容USA Pickleballの見解
① ピクルボート説ボート競技の「ピクルボート」が由来こちらが正しいとしている
② 愛犬ピクルス説プリチャード家の犬「ピクルス」が由来犬は1968年生まれのため、時期が合わない

① ピクルボート説(USA Pickleballの公式見解)

USA Pickleballの記事(2020年10月)によると、名前をつけたのはジョエルの妻ジョーン・プリチャードです。ゲームが生まれて数日のうちに「pickle ball」と名づけました。

ヒントになったのは、ボート競技(クルー)の「ピクルボート(pickle boat)」です。これは、正選手に選ばれなかった残りのこぎ手を集めて組んだボートのこと。ジョーンは、バドミントンや卓球などいろいろな競技を寄せ集めたこのゲームを、ピクルボートに重ねたとされています。

② 愛犬ピクルス説

もう1つが「プリチャード家の犬『ピクルス』が、ボールを追いかけて持っていったから」という説で、日本語の紹介記事でもよく見かけます。

ただしUSA Pickleballは、犬の記録や写真、関係者への聞き取りから、ピクルスは1968年生まれで、ゲームの誕生(1965年)より3年あとだったとしています。犬の名前のほうが、ゲームから取られたという見方です。

アメリカでの普及の歴史|家族の遊びから全米のスポーツへ

ネットが張られた屋外の青いピックルボールコート

専用コート・会社・大会が生まれた(1967〜1976年)

1967年には、シアトルのプリチャード邸に初のピックルボール専用コートが造られました。1972年には、このスポーツを守るために会社「Pickle-Ball, Inc.」が設立されます。

1975年から1976年にかけて、全国紙や『Tennis Magazine』で紹介されたことで知名度が上がりました。1976年には、ワシントン州タクウィラで最初の大会が開かれています。

統括団体とルールブックの誕生(1984年〜)

1984年に全米組織(U.S.A.P.A.)が設立され、同年3月に最初のルールブックが発行されました。1990年には全50州でプレーされるまでに広がっています。2005年には現在のUSA Pickleballにつながる組織として再編され、会員数は2025年に10万人を超えました。

2022年3月には、発祥の地ワシントン州が、ピックルボールを州の公式スポーツに定めています。

年表|ピックルボールの歴史

年出来事
1965年ワシントン州ベインブリッジ島で誕生。ジョーン・プリチャードが命名
1967年シアトルのプリチャード邸に初の専用コート
1968年プリチャード家の犬「ピクルス」が生まれる
1972年会社「Pickle-Ball, Inc.」設立
1976年ワシントン州タクウィラで最初の大会
1984年全米組織(U.S.A.P.A.)設立、最初のルールブック発行
1990年全50州でプレーされるように
2005年米国の統括団体が再編(現在のUSA Pickleballへ)
2020年一般社団法人日本ピックルボール協会(JPA)設立
2022年ワシントン州の公式スポーツに
2023年IOCが2028年ロサンゼルス五輪の追加5競技を承認(ピックルボールは含まれず)
2024年ピックルボール日本連盟(PJF)設立
2025年米国の競技人口が約2,430万人に(SFIA調査)
2026年JPAとPJFが統合し「Pickleball Japan」に。日本スポーツ協会の承認団体に

※米国の出来事はUSA Pickleball公式サイト、日本の出来事は各団体の発表によります。

ピックルボールの競技人口|アメリカは5年で6倍近くに

アメリカの競技人口は約2,430万人(2025年)

米国のスポーツ用品業界団体SFIAが2026年6月に発表した調査によると、2025年にピックルボールをプレーしたアメリカ人は約2,430万人です。

年米国の競技人口
2020年約420万人
2024年約1,980万人
2025年約2,430万人

※出典:SFIA。2024年はSFIA調査の数値(Pickleball Japan公式サイト掲載)。

2020年の約420万人から、5年で6倍近く(約5.8倍)に増えた計算です。SFIAは、ピックルボールを5年連続でアメリカで最も成長したスポーツとしています。年8回以上プレーする「コア層」も、2020年の140万人から2025年は750万人に増えました。

意外なのは年齢層です。シニアのスポーツという印象を持たれがちですが、SFIAによると、参加率がいちばん高いのは13〜24歳。いまは若い世代にも広がっています。

日本の競技人口は公式な統計がない

日本については、公式な競技人口の統計は確認できませんでした(2026年10月19日時点)。ネット上では「日本で数千人」「数万人」などの数字を見かけますが、出典がはっきりしないものが多いため、うのみにしないよう注意が必要です。

目安になるのは、国内の統括団体Pickleball Japanの会員数5,955人(2026年9月26日時点・公式サイト)。会員登録せずに楽しむ人もいるため、実際のプレー人口はこれより多いと考えられます。

日本への広がり|統括団体の統合で新しい段階へ

街なかにある屋外のハードコート

2つの団体が統合し「Pickleball Japan」に

日本では、一般社団法人日本ピックルボール協会(JPA)が2020年4月に、一般財団法人ピックルボール日本連盟(PJF)が2024年5月に設立され、2つの団体がそれぞれ普及に取り組んできました。

2026年1月に両団体は統合で基本合意し、2026年4月14日に統合。対外的な呼び名を「Pickleball Japan(PJ)」とする新体制が始まりました。さらに2026年6月24日には、日本スポーツ協会(JSPO)の承認団体として加盟が認められています。

体験会や大会が全国に広がっている

Pickleball Japanの公式サイトには、各地のオープン大会やツアー大会の情報が並び、都道府県単位の連盟も設けられています。2026年8月にはスポーツメーカーのミズノがピックルボール用のパドルやシューズの国内販売を始めるなど、道具も手に入りやすくなってきました。

ソフトテニスやテニスの経験者にとっては、ラケット競技の感覚を活かせる新しい選択肢です。

ピックルボールはオリンピック種目?今後の展望

2026年10月時点で、オリンピック種目には決まっていない

ピックルボールは、2026年10月19日時点でオリンピックの実施競技に決まっていません。 2028年ロサンゼルス大会では、IOCが2023年10月に追加競技として野球・ソフトボール、クリケット、フラッグフットボール、ラクロス、スカッシュの5競技を承認しましたが、ピックルボールは含まれていません。

目標は2032年ブリスベン大会

一方で、2032年ブリスベン大会での正式種目化を目指す動きはあります。JPAとPJFの統合も、目的の1つとして「国内の統一団体となって国際連盟に加盟し、オリンピック参加を目指すこと」を挙げていました。

ただし、五輪競技になるには国際的な統括団体がIOCに認められる必要があり、ピックルボールは国際団体が複数に分かれてきた経緯もあります。採用されるかはまだ分かりません。

よくある質問(FAQ)

Q. ピックルボール発祥の国はどこですか?

アメリカです。1965年の夏、ワシントン州のベインブリッジ島で、ジョエル・プリチャード、ビル・ベル、バーニー・マッカラムの3人が家族のために考えたゲームが始まりです。

Q. ピックルボールはカナダ発祥や日本発祥ではないのですか?

違います。発祥はアメリカのワシントン州です。日本で統括団体の整備や普及が進んだのは、ここ数年のことです。

Q. ピックルボールの名前の由来は何ですか?

USA Pickleballによると、ジョエルの妻ジョーンが、ボート競技の「ピクルボート」(残りのこぎ手で組むボート)にちなんで名づけました。愛犬「ピクルス」が由来という説もありますが、犬はゲーム誕生の3年後(1968年)に生まれたとされています。

Q. ピックルボールの競技人口はどれくらいですか?

アメリカでは約2,430万人(2025年・SFIA調査)です。日本は公式な統計がなく、統括団体Pickleball Japanの会員数は5,955人(2026年9月26日時点)です。

Q. ピックルボールはオリンピック種目ですか?

2026年10月19日時点では、オリンピックの実施競技に決まっていません。2028年ロサンゼルス大会の追加競技にも含まれていません。2032年ブリスベン大会での採用を目指す動きがあります。

まとめ

  • ピックルボール発祥の国はアメリカ。1965年夏、ワシントン州ベインブリッジ島で誕生
  • 考案者はジョエル・プリチャード、ビル・ベル、バーニー・マッカラムの3人。「家族で遊べるゲーム」が目的
  • 名前の由来は、USA Pickleballの見解ではボート競技の「ピクルボート」。愛犬ピクルス説は時期が合わない
  • 米国の競技人口は約2,430万人(2025年)で、5年で6倍近くに
  • 日本は2026年に統括団体が統合しPickleball Japanに。オリンピック種目にはまだ決まっていない

もともとは「家族みんなで遊べる」ように作られたゲームです。興味がわいたら、Pickleball Japanの公式サイトなどで近くの体験会や大会を探してみてください。

あわせて読みたい